研究課題/領域番号 |
10044284
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
免疫学
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
清野 宏 大阪大学, 微生物病研究所, 教授 (10271032)
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研究分担者 |
廣井 隆親 大阪大学, 微生物病研究所, 助手 (80228824)
高橋 一郎 大阪大学, 微生物病研究所, 講師 (20206791)
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研究期間 (年度) |
1998 – 1999
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キーワード | 粘膜免疫システム / 粘膜ワクチン / 粘膜アジュバント / 粘膜免疫調節因子 / 無毒化変異型CT / 経口ワクチン / 経鼻ワクチン / IgA |
研究概要 |
感染症に対する次世代ワクチン開発を考えたとき、第一線のバリアーとして作用する分泌型IgAを代表とする粘膜免疫の誘導が重要なポイントとなってくる。そこで本国際学術協同研究プロジェクトでは、抗原特異的IgA抗体誘導を効果的に増強する粘膜免疫活性化因子・粘膜アジュバントを開発する為の粘膜免疫に関連する基礎データを収集することを目的としてきた。本研究班は粘膜アジュバントとしてよく知られているコレラ毒素(CT)が効果的にIgA誘導サイトカイン(IL-5,IL-6)を産生するTh2型細胞を活性化して、抗原特異的IgAの誘導を高めることを解明してきた。しかしながら、CTを粘膜アジュバントとしてヒトに使用することはその毒性から不可能である。そこで、国立感染症研究所(竹田 美文所長)とアラバマ大学(ジェリーマッギー教授)の研究グループと協力して毒性活性部位のADP-リボシルトランスフェラーゼのアミノ酸置換により無毒化変異毒素(mCT)の開発に成功した。mCT(S61FとE112K)を粘膜アジュバントとして肺炎球菌の共通膜表面タンパク抗原として注目されているPspAと混合して実験用マウスに経鼻免疫すると抗体価の高い抗原特異的IgGとIgAが血清と鼻洗浄液に誘導された。さらに、鼻粘膜固有層や肺にPspA特異的抗体産生細胞が誘導されていることを確認している。呼吸器系の組織に抗原特異的IgA産生細胞を積極的に誘導するPspA特異的Th2細胞が誘導されていることを細胞とmRNA両方のレベルでも確認している。さらに注目すべき結果は、経鼻免疫されたマウスには感染免疫が成立しており、約80%のマウスを肺炎球菌の感染から防ぐ事ができた。この結果はmCTを併用した粘膜ワクチン開発へ向けて貴重な新情報である。mCTのアジュバント効果発揮のメカニズムについては抗原提示細胞に作用してTh1型・Th2型免疫応答誘導に深く関わっている補助活性化分子である、B7-1やB7-2の発現経路に影響を及ぼしている事がわかってきた。現在は、その効果がmCTのAもしくはBサブユニットのどちらに起因しているのか、キメラ分子を作成する事によって解析を試みている。この様に次世代ワクチンとして期待される経口・経鼻ワクチン開発に向けてこの国際協同研究を介して着実に成果をあげている。
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