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1999 年度 実績報告書

増幅したがん遺伝子をがん細胞から排出する機構

研究課題

研究課題/領域番号 10044292
研究機関広島大学

研究代表者

清水 典明  広島大学, 総合科学部, 助教授 (10216096)

キーワードextrachromosomal DNA / Micronucleus / Gene Amplificeation / Mitosis / Double Minutes / Lamin / Elimination
研究概要

がん細胞に見られるDMと呼ばれる染色体外遺伝因子は、数メガ塩基対程度の自律複製する環状DNAよりなる。我々は、DMが細胞から排出されるとがん細胞が脱がん化、分化することを見い出したことから、その排出機構に焦点を当てた研究を行ってきた。DMは細胞質に生じた微小核の中に選択的に取り込まれることが原因で細胞から排出される。本年度は最終年度であり、このようなDMの細胞内動態と選択的排出機構に関するモデルを細部にわたって完成させることができた。すなわち、DMは分裂期染色体に付着することによって娘細胞に安定に分配されるが、微小核誘導剤をDNA合成期に処理するとその後の分裂期に染色体から離れるDMが増加する。これは、微小核誘導剤がDMのDNAに2本鎖切断を誘導し、p53を欠失したがん細胞ではそのまま分裂期に進行するためであると考えられる。一方、分裂期染色体に付着して娘細胞に分配されたDMは分裂終期に核内へ取り込まれるのに対し、分裂期染色体に付着できなかったDMは細胞質に取り残され、塊を作る。このような塊はラミンタンパク質で覆われていないものが多いが、細胞がS期に進行するとラミンタンパク質の大規模な合成と再編成が生じ、細胞質DMの周囲を覆って微小核が形成される。このような微小核の一部は、そのまま細胞外に放出される。
本年度は9月に、清水がソーク生物科学研究所を訪問し、上記のモデルの細部にわたって議論をすることができた。また、今後の友好的な協力関係について話し合いを行い、今後の研究に重要な意味を持つ遺伝子等の供与を受けることができた。

  • 研究成果

    (6件)

すべて その他

すべて 文献書誌 (6件)

  • [文献書誌] T.Tanaka and N.Shimizu: "Induced detachment of acentric chromatin from mitotic chromosomes leads to their cytoplasmic localization at G1 and the micronucleation by lamin reorganization at S-phase."Journal of Cell Science. 113. 697-707 (2000)

  • [文献書誌] N.Shimizu et al.: "Selective Elimination of Acentric Double Minutes from Cancer Cells Through the Extrusion of Micronuclei"Mutation Research. (in press). (2000)

  • [文献書誌] 清水典明: "ヒト細胞の微小核-----染色体外遺伝因子の選択的排出機構"化学と生物. 37・7. 385-392 (1999)

  • [文献書誌] N.Itoh and N.Shimizu: "DNA replication-dependent Intranuclear Relocation of Double Minute Chromatin."Journal of Cell Science. 111. 3275-3285 (1998)

  • [文献書誌] H.Nakamura,et al.: "Survival by Mac-1-Mediated Adherence and Anoikis in Phorbol Ester-treated HL-60 cells."The Journal of Biological Chemistry. 273・25. 15345-15351 (1998)

  • [文献書誌] N.Shimizu,et al.: "Selective Entrapment of Extrachromosomally Amplified DNA by Nuclear Budding and Micronucleation during S-phase."The Journal of Cell Biology. 140. 1307-1320 (1998)

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公開日: 2001-10-23   更新日: 2016-04-21  

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