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1999 年度 実績報告書

放射線高感受性遺伝病ナイミーヘン染色体不安定症候群の遺伝子解析と診断応用

研究課題

研究課題/領域番号 10044295
研究種目

基盤研究(B)

研究機関広島大学

研究代表者

小松 賢志  広島大学, 原爆放射能医学研究所, 教授 (80124577)

研究分担者 田内 広  広島大学, 原爆放射能医学研究所, 助手 (70216597)
松浦 伸也  広島大学, 原爆放射能医学研究所, 助教授 (90274133)
キーワードNBS / AT / NBS1 / 電離放射線 / p53 / ATM / MDM2 / p21
研究概要

今回、我々はP53,p21及びMDM2の放射線誘導がAT細胞と同様にNBS細胞で減少していることを確認した。正常細胞では放射線照射によりp53 Ser15のリン酸化によりp53の分解が阻害される結果として細胞内p53が増加するとされている。しかしAT細砲ではp53 Ser15のリン酸化が起こらないために、放射線照射後に細胞内p53量が増加しない。そこで我々はNBS細胞の放射線照射後のp53 Ser15の抗体を用いてリン酸化能を測定した。この結果、正常細胞では放射線照射後1時間からリン酸化が進行するが、AT細胞及びNBS細胞では1時間後のこのリン酸化がみられない。しかし4時間後にはリン酸化が起こるが、これは後期p53誘導に関係するとされるATR(ATM遺伝子ファミリー)の作用によるものと思われる。これらのp53リン酸化と細胞内p53量の増加とは良く一致している。ATの原因遺伝子ATMはキナーゼ活性を有することが知られている。そこでp53のリン酸化がATMによるものであることを確認するためにGST-p53を用いた試験管内リン酸化実験を行った。正常細胞ではGST-p53は放射線照射した正常細胞からの抽出液で30分後及び1時間に顕著にリン酸されるが、ATMが欠損したAT細胞ではこのリン酸化がみられない。一方、NBS細胞では照射前のP53リン酸化のレベルが高いが、放射線照射によってもp53リン酸化のレベルは一定である。この結果はNBS細胞でp53リン酸化のATMキナーゼが正常に作用してないことを示している。
放射線照射によるp53の細胞内誘導はアポトーシスの原因となることが知られている。そこでNBS細胞の放射線照射後の早期アポトーシスを正常細胞及びAT細胞で比較した。この結果、NBS細胞はAT細胞と同様に照射後のアポトーシスが低下していることが明らかになった。

  • 研究成果

    (6件)

すべて その他

すべて 文献書誌 (6件)

  • [文献書誌] A.Ito,et.al.: "Expression of full-longth NBS1 protein restores normal radiation responses in cells from Nijimegen Breakage Syndrome patients."Biochem.Biophys.Res.Commun.. 265. 716-721 (1999)

  • [文献書誌] Q.Waisfisz,et.al.: "The Fanconi anemia group E gene,FANCE,maps to chromosome 6p."Am.J.Hum.Genet.. 64. 1400-1405 (1999)

  • [文献書誌] K.Morishima,et.al.: "A polymorphic CA repeat market at the human 27KD-calbindin(CALB1)locus."J.Hum.Genet.. 44. 414-415 (1999)

  • [文献書誌] T.Hiramoto,et.al.: "Mutations of a novel human RAD54 homologue,in primary cancer."Oncogene. 18. 3422-3426 (1999)

  • [文献書誌] M.Ihara,et.al.: "Heat sensitivity of double-strand DNA-dependent protein Kinase(DNA-PK)activity:heat labile component Ku80."Int.J.Radiat.Biol.. 75. 253-258 (1999)

  • [文献書誌] H.Tauchi,et.al.: "Sequence analysis of an 800-kb genomic DNA region on chromosome 8q21 that contains the Nijimegen breakage syndrome gene,NBS1"Genomics. 55. 242-247 (1999)

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公開日: 2001-10-23   更新日: 2016-04-21  

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