研究分担者 |
奥屋 茂 山口大学, 医学部, 助手 (20214083)
谷澤 幸生 山口大学, 医学部・附属病院, 講師 (00217142)
松谷 朗 山口大学, 医学部, 助教授 (10190464)
片桐 秀樹 東京大学, 医学部・附属病院, 医員(臨床)
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研究概要 |
インスリンによる糖輸送促進機構は、細胞内の小胞に存在する糖輸送担体GLUT4(この小胞をGLUT4小胞と呼ぶ)を細胞膜に呼び出す、GLUT4のトランスロケーションで説明できる。このインスリン作用にはphosphatidylinositol 3-phosphate kinase(PI3kinase)の活性化が必須であるが、GLUT4小胞までのシグナルは明らかでない。インスリン受容体を過剰に発現させたCHO-IR細胞にARNOやGrp1(米国M.Czech教授より供与)のPHdomainのみを発現させると、インスリン刺激により細胞膜の特定部位に集合することから、この部位でPI(3,4,5)P3が集積していると考えられた。すなわち、インスリンによりPI3kinaseが活性化されるが、このPI3kinaseは細胞膜近傍の特定部位に集合するので、この細胞膜(近傍)部位でPI3(3,4,5)P3が増加し、ここへPHdomainを介してAktが引き寄せられ、引き寄せられることでPDK1によりリン酸化され活性化されるというダイナミックな情報伝達経路が考えられた。さらに、PDK1の野性型(wt)およびK111A変異体(kinase dead:kd)をCHO-IR細胞に発現させ、Akt1のT308のリン酸化・脱リン酸化における役割について検討したところ、PDK1はAkt1のT308をリン酸化するだけでなく、その脱リン酸化にもPP1を介して関与していることが示唆された。本研究には米国M.Czech教授より供与されたGrp1 cDNAおよび糖輸送担体の細胞内局在化シグナルについての、豪州D.James教授との共同研究が大いに寄与した。
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