研究課題/領域番号 |
10044299
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研究機関 | 愛媛大学 |
研究代表者 |
浅野 喜博 愛媛大学, 医学部, 教授 (70114353)
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研究分担者 |
久保 秀一 東京都臨床医学総合研究所, 研究員 (00251223)
中山 俊憲 千葉大学, 医学部, 助教授 (50237468)
四宮 博人 愛媛大学, 医学部, 助教授 (80162618)
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キーワード | 感染免疫 / innate immunity / T細胞サブセット / IL-12p40 / マクロファージ機能 |
研究概要 |
感染に伴うT細胞サブセットの分化という視点から見ると、一種類の病原体によって抗原特異的な特徴をもつ免疫系全体がどのような機序でシフトするのかという極めて重要な点が未だに不明であり、明らかにする必要がある。これまでに、(1)申請者らはIRF-1遺伝子欠損マウスでは、本来タイプ1T細胞を誘導する病原体感染でもIL-12の発現が極めて低く、タイプ1T細胞が誘導されないことを明らかにした。しかし、(2)この様なマウスにPlasmodiumを感染させると、タイプ1T細胞が誘導されることを観察している。このことは、タイプ1T細胞サブセット誘導にはIL-12は必ずしも必須でなく、別の経路でもタイプ1T細胞の誘導が可能であることを示している。また、(3)ハーバード大学やエール大学のグループの解析で、抗原によるT細胞レセプターの刺激とともにIL-12やIL-4が作用し、T-betやGATA-3遺伝子の作用でT細胞サブセットの機能的分化が誘導されることが明らかになってきた。ところが、(4)申請者らがT細胞レセプタートランスジェニックマウスを用いて病原体感染におけるT-betやGATA-3遺伝子の動きを調べたところ、特異抗原によるT細胞レセプターの刺激以前に、感染マクロファージ系細胞の影響下にT細胞サブセットへのコミットメントが生じていることが明らかになった。 この(2)(4)の知見は、病原体によりT細胞レセプターの抗原刺激を介さない経路で、T細胞サブセットの機能的分化がT-bet遺伝子やGATA-3遺伝子発現以前に進行することを示唆している。これは感染によりT-betやGATA-3遺伝子の上流の遺伝子が機能し、T-betやGATA-3遺伝子の発現をコントロールしていることを示唆している。この点を明らかにすることは感染免疫系におけるT細胞の機能的分化機構、および生体防御におけるT細胞の働きを考える上で極めて重要なことと考える。 マクロファージへの遺伝子導入を進めるために、骨髄細胞からサイトカインを用いて短期培養細胞での検討と、骨髄細胞をサイトカインと非増殖性レトロウイルスを用いることにより不死化マクロファージ細胞株の樹立を進めている。現在形質転換した細胞株が得られつつあり、この性状・機能の解析を進めている。さらに、マクロファージへの遺伝子導入に細胞寄生性のリステリア菌を用いることが可能かの検討を始めている。
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