研究課題/領域番号 |
10044309
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研究機関 | 名古屋市立大学 |
研究代表者 |
横山 信治 名古屋市立大学, 医学部, 教授 (10142192)
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研究分担者 |
辻田 麻紀 名古屋市立大学, 医学部, 助手 (10253262)
堂前 純子 名古屋市立大学, 医学部, 講師 (70227700)
伊藤 仁一 名古屋市立大学, 医学部, 助教授 (60167260)
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キーワード | コレステロール / 燐脂質 / リポ蛋白質 / アポリポ蛋白質 |
研究概要 |
アポリポ蛋白質による細胞の反応によるHDL新生機構を中心に、3種類のモデル系が用いて研究が行われた。1)マウス白血病細胞RAW264に於けるアポリポ蛋白質結合部位の研究。Aキナーゼ活性化により結合部位が誘導され、アポリポ蛋白質と反応して細胞脂質からHDLが新生する。この誘導には数時間を要し、各種の蛋白質合成阻害剤による抑制が認められることから、細胞膜上の特定の蛋白質の関与が示唆された。しかし、家族性HDL欠損症における変異蛋白質ABC1の発現には大きな影響が認められなかった。2)ヒト白血病細胞THP-1に於けるHDL新生系に連動した細胞内コレステロール輸送機構の研究。未分化な細胞からはアポリポ蛋白質は燐脂質のみからなるHDLを新生するが、PMA刺激による分化誘導によりHDLはコレステロールに富んだものとなる。この時ABC1とcaveolin-1が誘導されるが、caveolin-1のantisense DNAによりHDLへのコレステロール積み込みは選択的に抑制される。従って、HDL新生系に連動した細胞内コレステロール輸送にはcaveolin-1が関与している。3)HDL新生系をin vitroで阻害するprobucolをマウスに投与し、この反応の生理的意義を検討した。マウスのHDLはprobucolにより迅速かつ著明に低下するが、ABC1を始めとするその代謝に関わる蛋白質の発現には殆ど影響がなくクリアランスにも差は認められなかった。腹腔マクロファージからのアポリポ蛋白質によるHDL新生反応はprobucolにより著明に低下し、この反応がマウス血漿HDLの主要な生成源であることが示された。
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