研究概要 |
ボストン大学において収集した、Asian,Caucasian,Hispanic,Afro-Americanの4人種を含む500名の健全上顎中切歯・歯冠中央部の色調を分析し、以下の結果を得た。 【天然歯の色調】 1,天然歯の色空間は、L^*の平均値は69.4±5.0(最大値82.1、最小値50.3)、a^*の平均値は2.8±1.4(最大値11.5、最小値-1.2)、b^*の平均値は14.5±3.3(最大値22.9、最小値0.9)であった。 2,天然歯の色調に関与する因子としては、人種差がL^*値に、性差がL^*値およびb^*値に、年齢差がL^*値およびa^*値に、歯牙漂白がL^*値およびb^*値に関与しており、統計学的な有意差が認められた。 【天然歯の新しい色体系】 1,CCS(Computer Color Searching)により天然歯の色調を分析した結果、500本の天然歯中472本に関しては、市販のシェードガイド4種90本の中に3.6以下の色差(色差の臨床的許容値)を有するシェードが存在し、その数は54種類であった(CCSタブと略す)。 2,市販のシェードガイドで網羅できなかった天然歯28本は、CCM(Computer Color Matching)によって作製された16本のCCMタブにより3.6以下の色差を得た。 3,54種のCCSタブおよび16種のCCMタブ、合計70種類のシェードタブを視感色濃度B値によってナンバリングした結果、なだらかな増加直線が得られた。 4,70種類のシェードタブを視感色濃度B値、天然歯との色差およびCCSによる選択頻度の3つの要素を基準に、天然歯の色調を網羅する最小限のシェードタブを厳選した結果、52種類に集約された。 人種、性別および年齢が関与し個人によって様々に異なる色調を呈する天然歯の色空開は、単一の基準で色調を評価することのできる視感色濃度B値によってナンバリングすることにより、52種類のシェードで構成される新しい色体系で表現することが可能となった。
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