研究概要 |
本研究の目的は人種、年齢、性別、Bleaching経験などの条件を含め、幅広い天然歯の色調を確実に構築するために必要とされる歯冠用セラミック材料の定量的な新しい色体系を開発することにあった。本研究では先ず、Caucasian,Hispanic,Afro-American,Asianの4人種を含む500名の上顎中切歯を分光測色し、幅広い天然歯の色空間を新たに設定した。さらに、現行のシェードガイドを用いて、天然歯の色調を視感評価ならびに測色評価(CCS:Computer Color Searching)することにより、天然歯の色調構築に不可欠なシェードタブ(CCS:シェードタブ)を決定した。天然歯とシェードガイドの分光測色データに基づき、天然歯とシェードガイドの色空間のDiscrepancyの存在を明らかにした。シェードガイドによって対応できない天然歯の色調に対しては、CCM(Computer Color Searching)を応用して、独自のシェードタブ(CCMシェードタブ)を作製した。CCSシェードタブ36種類およびCCMシェードタブ16種類の合計52種類のシェードタブについて視感色濃度B値を算出し、その値に従ってナンバリングした。視感色濃度B値という単一の基準値によって現わされる52種類のシェードタブからなるこの色体系は、天然歯の色空間を網羅し、客観的ならびに簡便に天然歯の色調を評価することのできる歯冠用セラミックの新しい色体系である。 本研究結果は、天然歯を測色して色調を数値化し、測色評価(CCS:Computer Color Searching)により新しい色体系の中から適切なシェードガイドを選定し、該当するシェードガイドが存在しない天然歯があった場合には、CCM:Computer Color Matchingによって独自の色調を再現するという新しい色調構築システムを可能とするものである。
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