研究概要 |
1)中国江西省の浸淫地での集団治療後の再感染抵抗性の解析 藩陽湖周辺の3つの地区(Zhuxi,Nanshan,Caipeng)を対象に集団治療後の再感染状況の疫学調査とその解析を行っているが、今回は新しく都昌県Caipeng村という高度浸淫地で疫学調査を開始した。調査対象は同地区に居住する10歳から70歳までの住民602名で、水接触度の聞き取り調査や虫卵検査による感染度の調査を平成10年に行った。平成11年3月に集団治療を行ない、夏期の伝播期を経て12月に再感染状況を調査した。その結果、治療前のCaipeng村浸淫度状況は29.2%程度の高い感染率を示していた。治療後、感染者の約30%が再感染していることがわかり、現在個人情報の整理を行ない遺伝解析の準備を行なっている。Caipeng村以外の2つの対象地区の再感染状況から振り分けた抵抗性と感受性の人たちの血清およびDNAの解析を継続しているが、Zhuxi村のHLA-DRBI遺伝子の結合に関与する部位に抵抗性群で特徴のあることが発見された。 2)感染後の線維化の免疫学的機構の解明 感受性あるいは抵抗性のHLAを有する人たちの免疫応答性をさらに詳細に解析する目的で、慢性期のT細胞応答を刺激するとされている虫卵由来の主要抗原分子の探索を行った。患者のプール血清を用いて虫卵ラムダgtllcDNAライブラリーから陽性のクローン400個を分離しその内146個のクローンのDNA配列を決定した。結果はすべて同じ遺伝子ですでに遺伝子バンクに登録されているmiracidial antigenと高い相同性が認められた。現在組み替えタンパクを準備中である。
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