研究概要 |
複数の抗生物質に対し、耐性を示す緑膿菌の耐性因子の一つである、MexA,B-OprMのポンプサブユニットMexA及びOprMの結晶化、及びポンプの本体であるMexBの二次元膜トポロジーの解析を行った。 (i)MexAサブユニットは内膜に結合したサブユニットであるので、昨年までは界面活性剤の存在下に結晶化を進めてきた。今年度は遺伝子を操作することによって、N-末端のシステインを別のアミノ酸に置換し、修飾している脂肪酸を外して水溶性蛋白とした。これを界面活性剤なしの条件下に結晶化したところ、約3.8オングストロームの解像度を得た。 (ii)OprMサブユニットは外膜に結合した蛋白であるが、これはOctylhydroxyethyl sulfoxide,LiCl,ポリエチレングリコール2000の存在下に結晶化に成功した。現在の解像度は約4.5オングストローム程度である。 (iii)ポンプの本体であるMexBの構造は遺伝子上でアルカリフォスファターゼ遺伝子を融合させる手法を取り、その膜トポロジーを決定した。その結果、MexBは内膜を12回貫通する型の輸送蛋白であることが明らかとなった。また、内膜の外側にアミノ酸311ケ及び314ケから成る大きなドメインを有することが明らかとなった。
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