研究課題/領域番号 |
10044334
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研究種目 |
基盤研究(A)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
生理学一般
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研究機関 | 岡崎国立共同研究機構 |
研究代表者 |
村上 政隆 岡崎国立共同研究機構, 生理学研究所, 助教授 (10104275)
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研究分担者 |
瀬川 彰久 北里大学, 医学部, 講師 (50154638)
杉谷 博士 日本大学, 松戸歯学部, 助教授 (20050114)
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研究期間 (年度) |
1998 – 2000
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キーワード | 水分泌 / 水電解質輸送 / 蛋白分泌 / 開口放出 / 唾液腺 / 輸送体 / チャンネル / 細胞内情報伝達 |
研究概要 |
本研究は、大量の水分泌と開口分泌を観察できる唾液腺に対象を限定、分泌顆粒が細胞膜に融合し開口放出を起こすプロセスについて分子生理的、形態学的に水輸送・開口分泌両システム間の協調機構を検討した。 A.分泌経過チームは、耳下腺/顎下腺を漿液/漿粘液分泌のモデルとして血管潅流・単離細胞標本を作製、carbachol/isoproterenolによりmuscarinic/β-adrenergic受容体を刺激し、水電解質分泌・アミラーゼ/ムチン分泌を測定、水分泌は直接的には細胞内Ca信号による制御、開口分泌はCaとcyclicAMP両者による制御を受けることが示された。muscarinic受容体低レベル刺激による水分泌と酸素消費増加はβ-adrenergic受容体刺激によりupregulateされ、このupregulationは細胞エネルギー供給系の能力/過剰な細胞内Caにより制限されることが示唆された。一方、耳下腺/顎下腺ともに酸素消費増加は主として水分泌と対応し、開口分泌増加には代謝エネルギー消費の増加はわずかであることが示された。 B.形態チームは、レーザー・走査電子顕微鏡を用い、耳下腺の血管潅流標本の分泌経過に沿って水経路とアミラーゼ開口分泌の微小形態の変化を観察した。その結果、細胞間隙の開閉が分泌刺激による起こること、分泌初期には細胞経由の水分泌が傍細胞経由より優位であること、carbachol刺激では細胞間分泌細管ICの初期一過性拡大が観察された。Isoproterenol刺激により、細胞間分泌細管ICに一次、二次の開口分泌像が観察された。いずれの刺激でもmicrovilliは消失し、IC周辺のrERの拡張mitochondoria電子密度増加も同時に観測された。前者は細胞内Ca代謝と後者はエネルギー代謝増加と関連づけられた。 C.開口放出関連蛋白チームは、免疫組織化学法により耳下腺ではVAMP2が分泌顆粒膜に,syntaxin4とSNAP23が管腔膜に発現するが、舌下腺ではsyntazxin1Aが腺房細胞に局在することを見い出し、粘液分泌と漿液分泌で開口分泌の分子機序が異なる可能性が示された。 D.分泌物質の運動性グループは、標識デキストランの腺房上皮通過を測定し、ラット顎下腺ではmuscarinic受容体刺激により直径5Åの傍細胞分泌経路が開通すると推定した。また羊口腔腺の潅流実験を行い、水分泌の陰イオン依存性について、詳細な測定を行なった。 以上、細胞内信号の組み合わせにより開口分泌と水輸送が協調して活性化される機構が明らかになった。
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