研究課題
国際学術研究
1. 共同研究の初年度であるため、研究目的、研究対象、共有する用語の定義、研究方法、各研究者の役割分担など、準備作業に多くの時間をかけ、一定の共通理解が得られた。また、代表メンバーが各1回行き来した結果、研究地域について大まかなイメージを得ることができた。教育現場が抱える問題として日本ではイジメや不登校があるが、米国では10代の妊娠、ドラッグ、暴力などが大きな問題である点など、現象面での差異がある一方、家庭や地域の教育力の低下など、共通する背景もあることがわかった。福島大学側、MTSU側の研究者の専門分野や関心領域を考慮して、(1)教育制度、(2)問題行動、(3)社会・家庭的背景、の3分野の研究サブ・グループを組織することになった。2. 手始めに、日-米、福島-テネシー州で刊行されている統計資料等をもちいて、両国・両地域での教育制度、問題行動の種類と頻度、学校を取り巻く家庭・地域社会の在り方などを比較検討することになり、書籍や統計資料などの現物の交換や資料リストの交換をはじめた。まだ、資料が十分そろってはいないが、次年度には分析に入れると思う。3. 平成10年12月、ミドルテネシー州立大から研究者を招聘した折に、「ドロップアウトした生徒の教育とは-アメリカ・テネシー州の代替学校(Alternative School)から学ぶ」、「アメリカにおけるスクールカウンセリング」と題して2回、公開講演会をおこなった。ともに学外からも多くの現職教師・学生・不登校児の親・スクールカウンセラーなどの参加があり、活発な討論がなされた。テネシー州では、代替学校がドロップアウトした生徒の再就学に大きな役割をはたしているが、チャータースクールについては、まだ州議会で審議中であること、スクールカウンセラーが臨床心理士とは別のカリキュラムで養成され、現場に常勤で配属され有効に機能していること、等の報告があった。