研究分担者 |
川島 郁夫 東京外国語大学, 外国語学部, 助教授 (60204715)
臼井 佐知子 東京外国語大学, 外国語学部, 教授 (70185007)
小林 二男 東京外国語大学, 外国語学部, 教授 (10107831)
三宅 登之 東京外国語大学, 外国語学部, 助教授 (40259213)
平井 和之 東京外国語大学, 外国語学部, 助教授 (10199028)
|
研究概要 |
3年計画の第2年度に当たる平成11年度も,4名の研究分担者を中国に派遣し,引き続き漢字の使用実態についての現地調査を行った。資料の分析に際しては中国側の研究分担者も招聘し討議に参加してもらった。成果は2000年3月に「漢字の使用実態と規範化(2)」という共通タイトルのもとで,それぞれ「漢字の使用実態調査報告とその分析」「漢字の歴史的使用実態に関する調査」「筆写文字の使用状況とその形態について」という副題を付した3点の報告集として発行した。第一の報告集では現地で収集した映像資料を示しつつ,中国でしばしば「社会用字の混乱」とも言われる簡体字,繁体字,俗字,当て字などの混用の実態に具体的に迫るとともに,このような「混乱」が起こる理由についての考察を行った。第二の報告集では研究分担者の一人が自ら安徽省で収集した清朝康煕年間から中華民国期にかけての筆写文字によるいわゆる「徽州文書」を対象とし,30点あまりを映像処理を行って資料として示すとともに,若干の分析を加えている。我々の研究としては,初めての歴史的研究であるが,およそ300年前の資料の中に既に現在の「簡体字」と同形の漢字が少なからず見られるだけでなく,一般に日本独自の字形と思われている日本の一部の「常用漢字」と同形の漢字が散見されることが判明した。第三の報告集では,外国人には判読が難解な中国人独自の漢字のくずし方について,その使用状況を調査・考察したものである。筆写文字の判読は中国語教育にとってこれまで顧みられることのなかった側面であるが,無視できない重要な問題であり,第3年度も引き続き取り上げていく予定である。
|