本研究は、新規有機合成反応の開発と有用化学物質合成への応用について、連合王国Wales大学Swanseaと徳島大学との大学間協力研究を推進した。交付金額の都合上、当初の計画を縮小せざるを得なかったが、平成10年度〜平成12年度に得られた成果は以下の通りである。 1)平成10年11月に和田がWales大学Swanseaを訪問し、アリルビスマス試薬やアリルスズ試薬を用いる含水溶媒中や水中でのアルデヒドのアリル化反応について講演し、活発な議論を行った。また平成11年1月には研究協力者のRobert S.Wardを招聘し、新しい不斉合成反応の開発と薬理作用を有するリグナン類の合成について研究打合わせを行った。 2)平成11年12月、研究分担者の三好がWales大学Swanseaを訪問し、ストロンチウムを用いる新しい有機合成反応の開発と応用について講演を行い、その後研究協力者らと有用化学物質の合成法を目指して、議論した。また、平成12年2月にJohn S.Daviesを招聘し、抗血栓作用の薬理作用を有する環状ペプチド類の簡便な合成法について検討した。 3)平成12年8月に和田がWales大学Swanseaを訪問し、水中で進行する環境調和適応型有機合成反応の開発と応用について講演し、その後研究協力者らと工業的プロセス開発を目指して議論した。さらに、平成12年9月に、研究協力者の高橋寿知を招聘して、高分子坦持触媒を用いる環境調和適応型有機合成反応の開発と応用について、講演会を開催して相互に学術交流を行った。 これからの有機合成反応の開発は環境に調和させる事が必要であるが、本研究で見出された反応は、環境調和適応型有機合成反応であり、この点で研究の成果が得られたと言える。
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