研究概要 |
カンザス州立大学において進行中であった高速の多価イオンとの衝突によって原子・分子をイオン化し,その際にイオンビーム軸方向に放出される電子のエネルギー分析実験に石井が参加した.電子エネルギー分析装置の静電レンズの電位配置について計算機シミュレーションによる詳細な検討を行って,予備的な実験において以前よりも一桁以上も分解能の高いエネルギースペクトルを得ることに成功した. VerzaniとDePaolaは東京都立大学において田沼が昨年より継続している電荷移行によって生成した励起状態イオンからの発光の偏向度測定に参加した.入射イオンをO^<6+>からN^<5+>に変更してHeおよびH_2を標的とした実験を開始した.O^<6+>を用いた実験も衝突エネルギーを従来より下げるとともに,測定回数と時間をかけて精度の高い値を得ることが出来た. 1999年7月に宮崎県仙台市において行われた第21回原子衝突物理国際会議に合わせてカンザス州立大学のメンバーが東京都立大学を訪れ,現在の研究状況と今後の共同研究の進め方についても議論を行った.その結果,奥野が開発して東京都立大学において非常に有効に動作しているビームガイド法をカンザス州立大学に技術提供して,電荷移行断面積測定を行うことが共同研究として有効ではないかという結論になった.東京都立大学とカンザス州立大学では衝突エネルギー領域が異なるので,両者が相補的に測定を行える点も考慮された.奥野がカンザス州立大学を訪問して,StockiおよびDePaolaとともに装置の開発にあたり予備実験を行った.
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