研究概要 |
本年度は,研究の最後の年であり,韓国慶北大学とのさらなる情報交換を行い,摩耗特性について検討した. 1)相互訪問: 5月 岩渕,清水の訪韓.昨年度実施した,Na2SO4溶液中でのジルコニウム合金のフレッティング摩耗特性の報告と,韓国で実施したジルコニウム(Zr)合金の純水中での摩耗特性の結果を討議した. 10月 ITC-2000長崎(日本トライボロジー学会国際会議)において,2件(岩渕,金)の発表 1月 慶北大学の研究員2名が1ヶ月岩手大学に滞在し,高温大気中のフレッティング摩耗実験を実施 3月 岩渕,清水,八代が訪韓.最終の報告会を慶北大学で実施 2)ジルコニウム合金の摩耗特性 今年度は,Zr合金の往復すべりでの検討を行った.特に,Na2SO4溶液中での荷重の影響と面積比の影響を求めた.Zr合金は不動態被膜を形成し,耐食性をもつが,動的腐食状態ではその被膜が壊れる.摩耗により生じるアノード領域と,その周りのカソード領域の大きさが,フリーポテンシャルの状態での電位の低下を決定するため,カソード面積を変化させることで,電位の変化を検討した.また,荷重の変化は摩耗痕の大きさを変化させることになり,同様に電位の低下を変化させる. 実験の結果は,いずれの場合も電位が変化し,定性的な確認をした.また,Zr合金は腐食摩耗よりも機械的摩耗の割合が比較的大きいことを得た. これらの結果から,腐食摩耗中における真実接触面の大きさを評価できる可能性があり,今後検討する. 3)まとめ 今回の国際共同研究において,岩手大学はZr合金の腐食溶液中のフレッティング摩耗と腐食摩耗の検討を行い,慶北大学ではZr合金の大気中,純水中のフレッティング摩耗特性を検討した.今後も,情報の交換を行い,その特性を一層明確化する.
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