溶液プロセスによる高機能複合酸化物の設計

1999 年度 実績報告書

• 研究課題/領域番号: 10045038
• 研究種目: 基盤研究(B)
• 研究機関: 東京工業大学
• 研究代表者: 吉村 昌弘 東京工業大学, 応用セラミックス研究所, 教授 (10016826)
• 研究分担者: 堂免 一成 東京工業大学, 資源化学研究所, 教授 (10155624) ; 伊藤 満 東京工業大学, 応用セラミックス研究所, 助教授 (30151541) ; 垣花 眞人 東京工業大学, 応用セラミックス研究所, 助教授 (50233664)
• キーワード: 溶液プロセス / 水熱反応 / 水熱電気化学 / 積層膜 / チタン錯体 / BaTiO_3 / SrTiO_3 / 層状複合酸化物 / 光触媒

研究概要

エレクトロニクス、イオニクス、超伝導、センサーあるいは触媒などの新しい高機能材料を開発するためには、組成、結晶構造、電子構造、さらには微構造や分散などを設計、最適化した複合酸化物を提案する必要がある。またそれらの特性はその作製プロセスにも大きく影響するので、プロセスの設計および制御も重要である。本研究では設計した高機能複合酸化物を電子的、電磁気的、分光的および物理化学的に評価すると共に、それらを効率よく作製する溶液プロセスの確率を目的とする。
溶液プロセスは低温かつ低エネルギー消費であるので環境負荷が小さいという長所を持つほか、通常の高温プロセルや真空プロセスでは逆に生成しにくい低温層や準安定相が得られる特色もある。
本年度の主な成果は以下の通りである。
1.LiOH中において金属基板を処理する溶液プロセスによりLiCoO_2の薄膜を100℃付近の低温でつくることができる。
2.本プロセスより電極として活性な高温相LiCoO2を100〜150℃で作製できる。
3.溶液をフローさせながら水熱反応、あるいは水熱電気化学反応を起こさせる反応装置を開発し、これを用いてBaTiO_3/SrTiO_3の積層膜が作製できる。
4.水溶性のチタン錯体、タンダル錯体、ニオブ錯体を開発し、それらを用いてLi複合酸化物の微粉体の合成に成功している。
5.錯体重合法により層状複合酸化物が合成され、これが高感度光触媒の性能を示すことを実証した。
6.インターカレーションにより層状複合酸化物にLiなどのイオン、塩、分子からバイオ高分子までを挿入することができ、それにより各種のナノハイブリッドが作製できることがわかった。

研究成果

• [文献書誌] Masahiro YOSHIMURA: "Recent Development in Soft Solution Processing: One Step Fabrication of Functional Double Oxide Films by Hydrothermal-Electrochemical Methods"J. Mater. Chem. 9[1]. 77-82 (1999)
• [文献書誌] Kyoo-Seung HAN: "Fabrication Temperature and Applied Current Density Effets on Direct Fabrication of Lithium Nickel Oxide thin Film Electrodes in LiOH Solution by Elictrochemical-Hydrothermal Method"Solid State Ionics. 121. 229-233 (1999)
• [文献書誌] Masahiro YOSHIMURA: "In situ Fabrication of SrTiO3-BaTiO3 Layered Thin Films by Hydrothermal-Electrochemical Technique"J. Euro. Ceram. Soc.. 19. 1353-1359 (1999)
• [文献書誌] M.KAKIHANA: "Chimical Design of Highly Water-Soluble Ti, Nb, and Ta-Precursors for Multi-Component Oxides"Bull. Korean Chem. Soc.. 20. 893-896 (1999)
• [文献書誌] J.SZANICS: "A Novel Tantalic Acid-Based Polymerizable Complex Route to LiTaO3 Using Neither Alkoxides nor Chlorides of Tantalum"Chemistry of Materials. 11. 2760-2763 (1999)
• [文献書誌] M.KAKIHANA: "Sol-Gel Synthesis of High-Tc Superconductors"J. Sol-Gel Sci. Tech.. 6. 7-55 (1999)
• [文献書誌] Ryu ABE: "Novel Methods for Preparation of Ion-Exchangeable Thin Films"Thin Solid Films. 343-344. 156-159 (1999)
• [文献書誌] Takeshi SUMIDA: "Characterization of Layered Titanate Thin Film"Electrochemistry. 1224-1226 (1999)
• [文献書誌] J-H.CHOY: "Intercalative Nanohybrids of Nucleoside Monophosphates and DNA in Layered Metal Hybroxide"J. Am. Chem. Soc.. 121. 1399-1400 (1999)
• [文献書誌] Y.S.HAN: "Acidic and Hydrophobic Microporous Clays Pillared with Mixed Metal Oxide Nano-Sols"J. Solid State Chem.. 144. 45-52 (1999)