研究課題/領域番号 |
10045041
|
研究機関 | 京都工芸繊維大学 |
研究代表者 |
上田 充夫 京都工芸繊維大学, 繊維学部, 教授 (20243123)
|
研究分担者 |
浦川 宏 京都工芸繊維大学, 工芸学部, 助教授 (10183211)
三木 定雄 京都工芸繊維大学, 工芸学部, 教授 (30135537)
梶原 莞爾 京都工芸繊維大学, 工芸学部, 教授 (10133133)
|
キーワード | 染色 / 環境 / 改質 / 染料 / セルロース / 繊維 / 廃水 / 逆ミセル |
研究概要 |
前年度に引き続き、今年度もセルロース繊維を基本として、ナイロンなどの合成繊維を含めて、繊維基質の化学的および物理的改質に関して検討を行った。これらの繊維基質を染色するための染料は主としてアニオン系であるため、染料と繊維基質との相互作用を高めるには、繊維基質表面をカチオン性に修飾するとよい。その目的には、化学反応性のカチオン性物質を用いる方法や、光エネルギーなどで反応を開始するカチオン性物質を利用する方法などが考えられる。本研究では、独創的な数種の修飾剤を見出し、熱あるいは光を開始エネルギーとして、繊維基質を修飾し、その後の染料との相互作用を検討した。その結果、修飾した繊維基質の染料との相互作用は顕著に増加し、染色に用いる染料はほとんど繊維基質に吸着され、廃水への残留染料はほぼゼロになることがわかった。染色後の繊維基質の染色堅牢度などを調べたが、従来の染色法によるものと遜色無いことも判明した。 また、環境低負荷型の新規な染色法として、非水溶媒から染色するというアイデアが古くから出されているが、染料がイオン性のものが多く、非水溶媒に溶解しないという問題があり、実用化には至っていないのが現状である。そこで、セルロースやナイロンなどの繊維基質を従来からの染色機で非水溶媒から染色するためには、染料を非水溶媒に溶解させる必要がある。そのために、界面活性剤の共存のもと、逆ミセルを形成させ、そのミセル内部にイオン性の染料を溶解させる方法を検討した。その結果、非水溶媒逆ミセルからセルロースやナイロンなどが高能率で染色できることが判明し、非水系クローズド染色システムへの実用化の道を開拓することができた。
|