研究課題
国際学術研究
湖南省新晃県のトン族民家は正面3間(1間は柱と柱の間をいう)、奥行きに3部屋から4部屋を設けている。正面3間のうち1間は土間、両側は板敷で、その板敷を仕切って部屋とし、一部屋を穀物を入れる倉庫にしている。中央1間の奥の土間に床を50センチ程高くして、そこにいろりを設け、床板敷の敷き方には規則がある。つまり縦材を3本通し、それに横材を渡す。大きさは2畳程でいろりを端に寄せて、土間に立って木を燃やせるようにしている。このいろりは一家族に1個で、二家族が住んでいれば2個ある。このことは注目すべきことと言いえる。少数民族(土家族、苗族、トン族)の中では大規模で吹き放ちのつし2階を設け棟が高い。材は太く、欅を用いている。つし2階に倉庫や客人の部屋を設ける場合には板壁で仕切る。その他吹き放ち部分には芋を干したり、迎築材を乾燥させたりしている。次に集住形態についての調査結果を記す。山岳地帯に住居を構えるために等高線状に立つ。敷地の間口は確保しえても、側面は狭いために困難である。それでも側面を長くするために前方に独立柱を建てて、床板を支えて、平面の拡張をする。その床下の独立柱よりも更に前方に出して板敷の面積を広くする。そのために片持梁を用いる。このことが吊脚楼を成立させる要因であると推定できた。民家が点在することなく集住するために吊脚楼を造る必要があったといえる。以上のことは実測調査ベすることで知りえた成果である。
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