湖南省寧遠県瑶族民家16棟、江華県の瑶族民家38棟を実測調査した。いずれも各民家の平面形式は正面3間を原則とし、中央を堂屋、両側を台所や寝屋としていた。堂屋の後方に部屋を設ける場合が多く、両側は各2室であるため、比較的正方形に近い長方形である。最も特徴的なことは壁体を土壁としている民家が比較的古く、その土壁がだんだん板壁に変化する過程をたどれることである。土壁内には壁と平行に丸太を何層にも入れ、その丸太が土壁間に渡した梁を支えている。梁は丸太で土壁の中に挿し込む。土壁の造り方は版築で、それらの道具も保存されている。敷地は狭く、キャントリバーで出し、その床梁の先端を柱で支え、地面より外へ出た部分を通路に使っていた。次に特徴的なことは、各民家が壁を共有して集住することである。同じ寧遠県の漢民族の民家も壁を共有して集住するが、必ず天井を設ける。しかし瑶族民家は天井を設けていない。漢民族の場合は縦横に集住の広がりがあるが、瑶族民家は奥行きの方の拡張はせず、縦方向つまり前面に沿って一列に並ぶ。その時に壁を共有する場合は前面道路と同様に室内を縦方向に通ることができる。堂屋内は通路になり両側の各部屋に廊下が設けられ、その廊下から堂に入り、堂から次の廊下へ道が通っている。廊下ができる前は堂屋内を通ると同様に両側の部屋内を通り、扉が側面に設けられ、その扉位置は見通しが効く。集住することによって、間取に変化の過程をたどることができた。以上の2つの特徴は実測調査による成果である。
|