研究概要 |
直流電力CVケーブルを開発するために、昇温,高電界下でケーブル絶縁体中に蓄積する空間電荷分布を測定できる装置を開発することが本研究の目的である。 (1)本研究の背景:高分子絶縁体を用いた直流ケーブルでは、直流電圧印加により空間電荷の蓄積が起こり、絶縁体中の電界を変歪し絶縁破壊を引き起こす。高温、高電界に耐え得る新しい直流送電ケーブルを開発するためには空間電荷の正確な測定のよる評価が必要である。武蔵工業大学で開発されてきたパルス静電応力法・空間電荷分布測定装置は、海外の研究機関でも評価されているので、University of Southampton□□英国□□高電圧研究所、およびKorea University(韓国)材料科学研究室と共同研究を実施した。 (2)昇温同軸電力ケーブル用の空間電荷測定装置の開発 パルス静電応力法の空間電荷分布測定を、実際の同軸形状電力ケーブルに適用できる実験装置の開発を行った。英国University of Southamptonの高電圧研究所の直流高電圧実験設備で実験できる電力ケーブル中の空間電荷分布測定装置を設計・製作した。田中助教授(武蔵工大)はこの研究を遂行するために、University of Southamptonに平成11年4月〜平成12年3月に長期出張、平成12年度に短期出張して実績を上げている。そこで問題となってきた昇温時の音波減衰補正を検討した。 (3)同軸ケーブルの界面現象と空間電荷の解析実験 電力ケーブルは途中で何ヵ所も接続する必要がある。そこには複層絶縁界面が存在し、その界面に空間電荷が蓄積し設計電界を大きく乱し絶縁破壊を引き起こしている。この問題を解決するために、材料科学の専門家であるKorea UniversityのSuh教授と共同研究を展開している。平成12年1月〜2月におよび平成13年3月に同大学のNam氏を武蔵工業大学に招へい界面電荷蓄積の測定装置の設計と製作し信号を得る段階になった。さらに、界面電荷蓄積の蓄積特性のデータを取得でき解析と検討ができた。
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