研究課題/領域番号 |
10045065
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研究種目 |
国際学術研究
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応募区分 | 大学協力 |
研究機関 | 近畿大学 |
研究代表者 |
筒井 暉 近畿大学, 農学部, 教授 (90207415)
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研究分担者 |
タンジ ケニーズ・K カリフォルニア大学デービス校, 教授
八丁 信正 近畿大学, 農学部, 助教授 (00268450)
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キーワード | 塩害 / 水管理 / 塩類集積 / 水配分 / リーチング / 乾燥地域 |
研究概要 |
本年度は、エジプトのナイルデルタ中流地域およびパキスタン、バンジャブ州ファイサラバード市周辺の塩害地域において特に潅漑の水管理の観点から現地調査を実施した。また、これらの2つの地域で採用されている塩類集積防止策、ならびに塩害地修復策についても情報の収集うとともに、こうした塩害が地域の社会・経済に及ぼす影響についても検討を加えた。これら2つの地域は、同程度の乾燥レベルにありながら作物の収量には大きな違いが見られ、水管理を適正に行い、適量の水を潅漑する事が塩害の防止よならびに収量の増大に効果的であることが明らかになった。特にパキスタン、ファイサラバードでは、水路の上流-下流間で不平等な水配分が行われ、適正な水配分を受けることのできない下流端では、塩分を含んだ地下水に依存した潅漑が行われ、塩類集積に拍車をかけている。また、パキスタンにおいては圃場レベルの地表排水施設が不足しており、これが集積した塩分をリーチングする場合の阻害要因になっていると考えられる。エジプトにおいても圃場レベルの水管理は必ずしも均等で安定したものとはなっていない。用水不足がある一方で夜間は多量の用水が水用水路や末端用水路(メスカ)から排水路へ流去している状況である。メスカレベルの損失だけでも取水量の30%〜60%に達すると報告されている。さらに、地下水位は、地域的、季節的変動が大きく、地下水位と塩類集積の関係については本年度の調査では必ずしも明かにする事ができなかった。 こうした現地調査に加え、塩類集積問題の研究先進地域であるカリフォルニアの水管理に関して、情報の収集を行い分析の一助とした。
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