研究課題/領域番号 |
10045066
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研究種目 |
基盤研究(B)
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研究機関 | 信州大学 |
研究代表者 |
那須 民江 信州大学, 医学部, 講師 (10020794)
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研究分担者 |
太田 節子 信州大学, 医学部, 助手 (90143974)
久保田 健夫 信州大学, 医学部, 助手 (70293511)
福嶋 義光 信州大学, 医学部, 教授 (70273084)
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キーワード | 食道癌 / 中国 / 分子疫学 / p53 / DNAメチル化異常 / 食生活 / 井戸水 / 喫煙 |
研究概要 |
中国河北省の食道癌高発地域、中発地域、低発地域の食道癌患者それぞれ77名、82名、50名から食道腫瘍組織を収集し、癌関連遺伝子(p53変異、p16、p15、E-cadherin,H-cadherin,estrogen receptorのDNAメチル化異常)について解析した。1)癌患者の平均年齢は高発地域の方が低発地域より低かった。2)予想に反して、p53変異の頻度は高発地域(36.4%)より低発地域(48.0%)に多い傾向であった。一方、DNAのメチル化異常の頻度は低発地域より高発地域において多く認められる傾向であった。p53変異は高発地域においてはエクソン5と8に多かった。しかし、低発地域ではエクソン7における変異が約半数を占め、地域によってp53変異スペクトルが異なることが明らかとなった。3)p53変異と環境要因との関連性を検討した。高発地域において、検討した食生活要因の中で、p53変異との関連性が認められた要因はなかった。低発地域においては、p53変異と、辛い物の摂取、井戸水の使用、生水の飲用習慣との間に関連性が認められた。生水の飲用習慣がある物はすべて井戸水をしようしていた。4)癌関連遺伝子のメチル化異常と食生活要因との関連性も検討した。DNAのメチル化異常は低発地域において見られた様なp53の変異と食生活習慣との関連性は認められなかった。しかし、高発地域においては、父親に食道癌の家族歴を持つ者はDNAのメチル化異常が多くみられることが判明した。以上をまとめると、食道癌にはp53の変異や癌関連遺伝子のメチル化異常が関連していることが明らかとなった。これらの頻度やスペクトルに地域差がみられることから、食道癌の原因が地域によって異なると思われる。
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