フリーラジカルが関与するアポトーシスの分子機序の解明

2000 年度 実績報告書

• 研究課題/領域番号: 10045069
• 研究機関: 名古屋大学
• 研究代表者: 若林 隆 名古屋大学, 医学部, 教授 (00079998)
• 研究分担者: 仁木 一郎 名古屋大学, 医学部, 助教授 (10262908) ; 吉田 松年 名古屋大学, 医学部, 教授 (70090420) ; 早川 哲夫 名古屋大学, 医学部, 教授 (80022838)
• キーワード: TEMPO誘導体 / アポトーシス / 微小管 / taxol / nocodazole / acetylated α-tubulin

研究概要

1.アパトーシス誘導に対する細胞骨格系の役割:培養細胞系を用いた実験系において、microtubule-active drugsであるtaxol,nocodazoleを用いて、細胞内acetylated α-tubulin量がミトコンドリア(ミト)の生合成の制御を介してアポトーシスをコントロールしている事を見いだした。2.巨大ミトの機能の再検討:種々実験条件下で動物叉は培養細胞でミトを巨大化させ、分離したミト分画用いて巨大ミトの諸機能を測定してきたが、これらのミト分画には巨大化したものと正常大のものが共存しており、巨大ミトの機能を果たして反映しているかどうか疑問視されてきた。今回、ラットでエタノール・ヒドラジンによりミトを巨大化させた肝組織から重いミト分画、軽いミト分画を分離し、チトクロム含有量その他測定した結果、両者に差がないことを見いだした。更に、分離ミトの走査型電顕観察により巨大ミトと正常大のものが連続していることも見いだした。3.ミト巨大化とアポトーシスの相関:ミト巨大化と単なる膨化の差を実験的に明確にし、前者の定義を確立した上で巨大ミトが二次的に膨化することによってアポトーシスを起こす事を証明した。

研究成果

• [文献書誌] Wakabayashi,T.,Karbowski,M.: "Structural changes of mitochondria related to apoptosis"Biological Signals and Receptors Special issue on mitochondria (Review Article). 10. 26-56 (2001)
• [文献書誌] Karbowski,M.,Spodonik,J.,Teranishi,M.,Wakabayashi,T. et al.: "Opposite effects of microtubule-stabilizing and microtubule-destabilizing drugs on biogenesis of mitochondria in mammalian cells"Journal of Cell Science. 114. 281-291 (2001)
• [文献書誌] Wakabayashi,T.,Spodnik,J: "Structural changes of mitochondria during free radical-induced apoptosis"Folia Morphologica (Review Article). 59. 61-75 (2000)
• [文献書誌] Teranishi,M.,Spodonik,J.,Karbowski,M.,Kurono,C.,Wakabayashi,T. et al.: "Swelling of free radical-induced megamitochondria causes apoptosis"Exp.Mol.Pathol.. 68. 104-123 (2000)
• [文献書誌] Wakabayashi,T.,Teranishi,M.,Karbowski,M.Wakabayashi,T. et al.: "Functional aspects of megamitochondria isolated from hydrazine-and ethanol-treated rat livers"Pathology International. 50. 20-33 (2000)