研究概要 |
2種の銀合金粒子(Ag-Sn,Ag-In)を溶湯噴霧法によって作製し,これらをフィラーとするメタル・レジンコンポジット材料を作製し,その耐久性と抗菌性について評価した。耐久性はメタル・レジンコンポジットを最長100日間37℃水中に浸漬した場合と720回サーマルサイクリングを行った場合のたわみ強さによって評価し,抗菌性はStoreptococcus Mutansを培養した寒天培地にメタル・レジンコンポジット試験片を静置し,静置24時間後の試験片周囲における菌育阻止帯の大きさによって評価した。なお,無機質フィラーを用いた従来型コンポジットについても同様の試験を行い,メタル・レジンコンポジットと比較した。 水中浸漬したメタル・レジンコンポジットのたわみ強さは,100日間水中浸漬後にはAg-Snフィラーで約25%減少したが,Ag-Inフィラーではあまりあまり減少せず(約7%減少),従来のコンポジットレジンと同程度,あるいはわずかに大きい程度であった。720回サーマルサイクリングを行った時のたわみ強さは,いずれの材料においてもサーマルサイクルを行わなかった場合のたわみ強さと同程度であった。メタル・レジンコンポジットの菌育阻止帯はフィラー合金種にかかわらず約2mmで,アマルガムと同程度であった。これに対し無機質フィラーを用いた従来のコンポジットでは菌育阻止帯は認められなかった。
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