研究概要 |
[1]機能性製剤素材:1)キトサン(CHT)の分子量制御,分子量分布制御とその化学的製造(加水分解法)のスケールアップについては検討を継続中である.現在,分子量分布の製剤物性に対する重要性を具体的に明らかにしつつある.一方,CHTの乾式遊星ボールミル粉砕では,アシル基の長いステアリン酸10%添加で平均粒子径1.8μmの微粒子を得た.2)レシチン(LC)を主膜剤として気中懸濁法で製したマイクロカプセル(MC)では,LCとして高転移温度の水素添加卵黄レシチン(HE-LC)を用いた場合,添加剤のコレステロール,ステアリン酸の溶出に対する効果は大豆LCとは逆で,それらが溶出を促進させることが分かった.3)温度応答性MCを,N-isopropylacrylamide(NIPPAm)を表面グラフト化したラテックスを用いて設計・調製し,その溶出の温度逆応答性確認した.[2]大豆LC混合系を膜剤として,ガドペンテト酸(Gd-DTPA),そのジメグルミン塩,またはGd-DTPAのステアリルアミド(Gd-DTPA-SA)を増感剤として,気中懸濁法によりMCを設計・調製し,薬物の性質,膜剤処方,粒子構造設計により多様な溶出・崩壊特性が得られることを示した.特に,本製剤の多くは,投与部位・臓器に高濃度に薬物を滞留させながら,正常組織に一過性障害しか与えないことを,ラット肝動注実験で示した.2)大豆油,HE-LC,HC060を主成分とし,Gd-DTPA-SAを油滴界面に保持した平均粒子径78nm,Gd含量3mgGd/mlのエマルションの調製に成功した.3)架橋剤を用いないCHI粒子調製法として,液滴融合法を開発した.生成した一次粒子は約400nmであったが,凝集しており,最終粒子径は3-4μmであった.[3]長期保存が可能なジクロフェナック含有経口徐放性MCについて,用時懸濁型製剤の設計と最適化に成功した.水溶性薬物の粒子内部での溶解度下げるべく,陰イオン性高分子ラテックス膜でサブコートしてから徐放性膜を付ける構造が,微粒子化(90μm)と高薬物含量(30%)に寄与した.
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