研究概要 |
[1]機能性微粒子製剤の調製 1)キトサンの乾式遊星ボールミル粉砕法により,DTPA-distearylamideを添加してキトサンとの複合粒子を調製してからGdをキレート化すればGdを含有する2.0μmのマイクロパーティクルの製造が可能であることを示した.さらに同法により,微粒子コーティング用キトサン水系分散剤の開発を目指し,成膜性に関して種々の添加剤をスクリーニングしたところ,アスパラギン酸が最も有効であることを見い出した. 2)SCC-VII坦癌マウスに液適融合法により調製したGd含有キトサンナノ粒子を腫瘍内投与し:in vivo中性子捕捉療法実験において投与量依存性を評価したところ,腫瘍成長抑制効果を得るに必要な腫瘍内Gd-157濃度は150ppmであることが定量的に示された.また,in vitro細胞培養系で本製剤の細胞取込みを検討したところ,細胞表面への付着,細胞内への侵入が透過電子顕微鏡により確認された 3)薬物をイオン交換樹脂の微粒子に保持させることにより数%の被覆量で薬物放出を強く抑制するようになるマイクロカプセルの調製に成功し,Ready-made型経口徐放性懸濁剤の可能性を開いた. [2]製剤特性のキャラクタリゼーション 1)ナノエマルションの静脈注射による体内動態を検討し,前年度の腹腔内投与の場合と同等の結果が得られることを確認した.また,リポソーム化は高濃度にGdを保持させることが困難であった.これまでのエマルションでの結果は,脂質が腫瘍で飽和していると考えれば辻褄が会うことから,脂質量を減らした100nm以下のエマルションを新規に開発し,同様に静脈ない投与を行ったところ,腫瘍内濃度を189ppmにまで高めることができた.これは,中性子捕捉療法に十分な腫瘍内Gd蓄積がこの製剤で達成できることを意味する重要な結果である. 2)遅延放出特性を有するアクリル系3元共重合体ラテックスのモノマー組成はEA:MMA:HEMA=9:9:4付近であることを見い出し,微粒子コーティング可能な物性を有することを確認した.
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