カルシウム/カルモデュリン依存性多機能性プロテインキナーゼを介するシグナル伝達

1998 年度 実績報告書

• 研究課題/領域番号: 10102002
• 研究機関: 旭川医科大学
• 研究代表者: 藤澤 仁 旭川医科大学, 医学部, 教授 (10027039)
• 研究分担者: 木谷 隆子 旭川医科大学, 医学部, 教務職員 (70101417) ; 竹内 昌之 旭川医科大学, 医学部, 助手 (40226999) ; 石田 敦彦 旭川医科大学, 医学部, 助手 (90212886) ; 亀下 勇 旭川医科大学, 医学部, 助教授 (60127941)
• キーワード: カルシウムイオン / カルモデュリン / シグナル伝達 / 蛋白質リン酸化酵素 / 蛋白質脱リン酸化酵素 / CaMキナーゼカスケード / CaMキナーゼII / CaMキナーゼIV

研究概要

1. カルシウム/カルモデュリン依存性蛋白質リン酸化酵素II(CaMキナーゼII)
(1) 活性型/リン酸化型CaMキナーゼIIを脱リン酸化して脱活性化する新しい蛋白質脱リン酸化酵素(CaMキナーゼホスファターゼ)をラット脳から純粋に精製してその性質を明らかにした。
(2) CaMキナーゼIIの特異的で強力な阻害剤として開発したAIPペプチドを構成するそれぞれのアミノ酸について阻害作用との関連をアミノ酸置換法によって調べた。
(3) CaMキナーゼIIの4種の遺伝子から選択的スプライシングにより多様なアイソフォームが作られ、ウサギの肝臓にはこれまでに報告のない新しいアイソフォームがγ遺伝子及びδ遺伝子から作られることを明らかにした。
2. カルシウム/カルモデュリン依存性蛋白質燐酸化酵素IV、I(CaMキナーゼIV、I)
(1) CaMキナーゼホスファターゼがCaMキナーゼIIのみでなく、活性型CaMキナーゼIVと活性型CaMキナーゼIをそれぞれ脱リン酸化して脱活性化することを明らかにした。
(2) CaMキナーゼIとCaMキナーゼIVをリン酸化して活性化するCaMキナーゼキナーゼの2つのアイソフォームαとβのmRNAの脳内分布を調べ、CaMキナーゼI、CaMキナーゼIVの分布と比較検討した。
(3) CaMキナーゼの基質蛋白質や結合蛋白質のスクリーニングを行うために、二次元電気泳動を用いた蛋白-蛋白相互作用の解析法を開発した。

研究成果

• [文献書誌] A.Ishida: "A Novel Protein Phosphatase That Dephosphorylates and Regulates Ca^<2+>/Calmodulin-dependent Protein Kinase II" J.Biol.Chem.273(4). 1904-1910 (1998)
• [文献書誌] A.Ishida: "Critical amino acid residues of AIP,a highly specific inhibitory peptide of calmodulin-dependent protein kinase II" FEBS Lett.427. 115-118 (1998)
• [文献書誌] H.Sakagami: "Localization of the mRNAs for two isoforms of Ca^<2+>/calmodulin-dependent protein kinase kinases in the adult rat brain" Mol.Brain Res.54. 311-315 (1998)
• [文献書誌] K.Yoshida: "CREB-induced transcriptional activation depends on mGluR6 in rod bipolar cells" Mol.Brain Res.57. 241-247 (1998)
• [文献書誌] I.Kameshita: "Analysis of Protein-Protein Interaction by Two-Dimensional Affinity Electrophoresis" Anal.Biochem.262. 90-92 (1998)
• [文献書誌] M.Takeuchi: "New alternatively spliced variants of calmodulin-dependent protein kinase II from rabbit liver" GENE. 221. 107-115 (1998)
• [文献書誌] A.Ishida: "Regulation of Multifunctional Ca^<2+>/Calmodulin-dependent Protein Kinases by Ca^<2+>/Calmodulin dependent protein Kinase Phosphatase" Biochem.Biophys.Res.Commun.253(1). 159-163 (1998)
• [文献書誌] 竹内昌之: "蛋白質・核酸・酵素" 共立出版, 5 (1998)
• [文献書誌] 亀下 勇: "生化学" 日本生化学会, 3 (1998)