研究概要 |
1.ツメガエルの未成熟卵母細胞はG2期で停止している。この停止にG2チェックポイントキナーゼであるChk1キナーゼが関与しているか否かを,優性不能型のツメガエルChk1の強制発現によって調べた。その結果,内在性Chk1が有意に卵母細胞のG2停止に関与していることが判明した。更に,Chk1がCdc2の活性化因子であるCdc25Cをリン酸化,不活性化することでその停止に関与していることを明らかにした。(Dev. Biol.誌発表)。 2.Wee1キナーゼはCdc25Cホスファターゼに拮抗して働く普遍的なCdc2の阻害因子である。卵形成過程におけるWee1の発現を調べたところ,Wee1は翻訳レベルでの調節によって,第二減数分裂以降のみに発現していることが判明した。更に、第一減数分裂期にWee1を生理的なレベルでectopicに発現させるだけで,第一減数分裂直後にS期が出現し,「減数分裂が体細胞型分裂に変換する」ことを見い出した。これらのことから,減数分裂におけるWee1の欠如が減数分裂周期のために必須であることが示された。(Genes&Dev.誌発表)。 3.これまで長くCd2の調節因子と考えられてきたNek2キナーゼのツメガエルホモログをクローニングし,その発現および機能解析を行った。ツメガエルにはNek2A,Nek2Bと命名したスプライス変異体が存在し,前者が神経胚以降の胚や精巣に胚性因子として発現されるのに対し,後者は卵母細胞および(神経胚までの)初期胚に母性因子として発現されることが判明した(Dev. Biol誌発表)。さらに,Nek2Bの機能を特異抗体などで阻害したところ,卵成熟にはほとんど影響を与えなかったが,卵割において中心体の形成に大きな影響を与え,異常な分裂を引き起こすことが判明した。このことから,Nek2Bは卵割期において中心体形成(の維持)に関与することが示された(EMBO J.印刷中)。
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