研究概要 |
1.Wee1の欠如による卵減数分裂の制御 卵成熟は減数分裂の過程であり,DNA合成期(S期)を省略した2回のM期から成る.ツメガエル卵母細胞には(S期を作る)Wee1が存在せず,その強制発現が2つのM期の間にS期を誘起することを明らかにした.すなわち,卵減数分裂の進行にWee1の欠如が必須であることを初めて示した. 2.母性および胚性Wee1による初期発生の制御 ツメガエル卵母細胞や初期胚に存在するWee1は母性型(Wee1Aと命名)であり,後期胚には胚性型(Wee1B)が存在することを見出した.Wee1AとWee1Bは代謝的安定性やキナーゼ活性が大きく異なり,初期発生における細胞周期の変遷に密接に関わっていることを示した. 3.卵割におけるNek2Bの機能解析 ツメガエル卵より母性型Nek2キナーゼ(Nek2B)を単離した.そして,Nek2Bが卵割期の中心体に特異的に存在し,その形成や維持に関わっていることを初めて示した. 4.卵母細胞におけるChk1の機能解析 チェックポイントキナーゼの一種であるChk1がツメガエル卵母細胞の細胞質に存在し,Cdc2の活性化因子であるCdc25Cホスファターゼの活性を阻害することで同細胞のG2停止に関与することを見出した.更に,Chk1のC末端が負の調節領域であることを明らかにした. 5.MBTにおけるChk1の機能解析 ッメガエル卵の中期胞胚遷移においてChk1がCdc25A(Cdk2の活性化因子)を直接リン酸化し,その分解を誘起することを初めて明らかにした.更に,Chk1によるCdc25Aのリン酸化・分解がMBT以降の後期発生のために必須であることを示した.
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