従来の重厚長大な印刷媒体による二次元的な言語地図集という通念に根本的な修正を加え、画像・動画・音声を統合したオブジェクト化を利用した三次元マルチメディア型言語地図作成の自動化と、四次元的に言語史が展開する、時系列マルチメディア・オーサリング・システムの開発は言語研究の枠内では前例のない試みである。さらにアルゴリズム化された三次元言語地図作成プログラムが汎用性を高め他の分野にも応用できれば、本来の研究目的に加えて、学生の教育に直結した語学教材の開発に至るまで、活用できる。 第一段階として、スイス・アルプスで使用されるロマンシュ語について、一次資料をデジタル化し、画像・音声データをマルチメディア地図に統合するための自動化プログラムを研究した。 第二段階として、マルチメディア型言語民俗情報を三次元から時系列的にも展開させて、言語学的には言語干渉と、新語伝播のシュミレーションを四次元的に再構成する試みを行った。 その応用分野として、さらに汎用性を高め、言語教育・異文化理解教育にも貢献しうる教材開発を、学習者の能力開発と自己評価を容易にするインタラクティブ性を高めた、統合マルチメディア型日本語教材の試作をした。 その成果は、本年3月に特定領域研究「人文科学とコンピュータ」の研究成果報告書をはじめ、CD-ROMやネット上で公開した。
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