出土品のデータベース検索のために、銅鏡の分析機能をテンプレートマッチングによる紋様検出、凹凸ヒストグラムの相関による大分類、外区傾き比にまず、よる大分類の3種について、そのアルゴリズムとアプリケーションプログラムを開発した。 「この紋様と同じレリーフを持つ遺物」から検索できる機能をテンプレートマッチング法でXウィンドウのGUIで実装した(UNIX-Cで記述)。登録紋様を指定すると、銅鏡全体をスキャンし、探索された最小値を示す矩形を表示する。ただし処理速度は遅く、SGI社O2ワークステーションで銅鏡当たり数分を要した。方格規矩鏡、内行花文鏡、三角縁神獣鏡の種別に自動分類することに目的に、出土銅鏡は表面の腐食のためノイズが多く典型テンプレートを用意しそれとの二次元パターンの直接的なマッチングは困難であるため、表面腐食に依存しない三次元像の凹凸ヒストグラム(基準面から一定の高さを有する領域が銅鏡全体の何割を占めるかの割合)を特徴量として分類することを考えた。実験の結果、同種である三角縁神獣鏡との相関が一番高くなった。画文帯神獣鏡は彫刻が深い方であるため相関値が高めになっていると思われる。凹凸ヒストグラムの相関によって銅鏡の形式分類が可能であることが示された。銅鏡は、中央の盛り上がりを紐、外周部から半径の30%程度の位置を占める周辺部を外区、紐と外区の間を銘帯、文様帯と呼ばれる。上図は実際に本計測装置によって得られた断面形状である。ここで新たに、外区の形状特徴を分類の指標とすることを考え、外区の部分は鋸刃文様という形式が多いため二次元だけでは分類しづらいため、左下図の傾きaと傾きbとの比を特徴量とした。傾き比が50のあたりで三角縁神獣鏡1式、18のあたりで三角縁神獣鏡2式、5のあたりで三角縁神獣鏡4式と言え、この特徴量から 一部の形式を自動分類できる可能性が示唆された。今後は、銅鏡を計測装置に置く際の方向に依存しないよう、銅鏡の円周方向に関する形状情報を特徴量化したい。
|