森林資源に関するデータについて、作成状況、保存・利用状況について検討を行った。森林資源現況に関するデータは、国有林については営林局にて、民有林については都道府県林務部局森林計画係において、別々な方法で調査されデータベース化されている。このほか、森林保険の査定にかかわる森林調査資料、金融機関・電力会社が有する森林調査資料も、総合的な森林資源調査には有益な資料であることがわかった。森林資源調査全般にみられる課題を検討した結果、集計システムの重要な部分を構成する収穫表の多くが調製後20年以上を経過しており、データの妥当性に関する検証が必要な時期に来ていることがわかった。データ作成過程に関する問題点として、(1)森林に関する情報収集ならびにデータ作成目的の明確化、(2)基礎資料、データの整備、(3)各種森林データの有効利用、が重要であることがわかった。 民有林に関する基本的な森林資源資料である森林簿について、保存・利用状況を調査した結果、(1)資料の保存期間が林業経営に必要とされる期間と比べ著しく短いこと、(2)保存方法が都道府県により、また、時期により異なること、がわかった。長期にわたる森林資源データが利用できような形で保存されておらず、データの有効利用以前の課題として、資料の保管体制を確立する必要があることがわかった。また、森林簿の開示規定には改善すべき点が多いこと、特に情報処理機器の変化に十分対応できていないことがわかった。森林ミクロデータの有効利用が進んでいない状況について検討した結果、(1)過去における利用実態の少なさ、(2)長期間を要する森林調査は周辺状況の変化を常に伴うこと、(3)調査内容が変化しないまま、データ処理技術のみ変化してきたこと、(4)精度に対する信頼性が揺らいでいること、(5)関係機関に人的資源が不足していること、が明らかになった。
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