研究課題/領域番号 |
10116103
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
柳澤 悠 東京大学, 東洋文化研究所, 教授 (20046121)
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研究分担者 |
穂坂 光彦 日本福祉大学, 経済学部, 教授 (10278319)
中村 尚司 龍谷大学, 経済学部, 教授 (50172424)
斎藤 修 一橋大学, 経済研究所, 教授 (40051867)
篠田 隆 大東文化大学, 国際関係学部, 教授 (20187371)
応地 利明 京都大学, 東南アジア研究センター, 教授 (60024212)
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キーワード | 環境 / 開発 / 農業 / 人口 / 家畜 / 森林 / 病気 / 都市 |
研究概要 |
1. 地域別人口統計、家畜統計、土地利用統計などを主としてマイクロフィルムの形で収集し、焼付け等を行なった。それらのパソコンへの入力作業を進め、その分析を行なった。合計6回の研究会を開催し、成果の検討を行なった。 2. これらの分析と研究会とによって、以下の点の解明・検討が行なわれた。 (1) 先行研究は、インドの人口動態の多産多死いう特徴が19世紀末までさかのぼりうることを示してきたが、本研究は、南インドでは死亡水準も出生率水準も相対的に低位であったことや、死亡・出生率の水準は降水量と関連していたことを示し、インド南北の差違も乾燥・湿潤の差違に関連する可能性が示唆された。 (2) 19世紀末以降、マラリヤを媒介するアノフェレスの撲滅という土木的技術的対応が採られたが、人々の社会経済的な条件がマラリヤ流行に大きな意味を持つことが認識されるようになっていったことが明らかにされた。 (3) 19世紀後半以降の家畜統計の分析から、家畜の長期変動には飢饉影響が大きいこと、「緑の革命」によって家畜の飼育基盤が変動したこと、近年の農村の電化とトラクターの普及によって去勢牛の数の低下が顕著なこと、近年の研究はヤギ飼育が必ずしも環境破壊的とはいえないことを示していること等が明らかとなった。 (4) インド・デカンのミレット湿潤農耕における畜力一貫農作業体系がその他の農業体系との比較において詳細に検討され、畜力条播器の環境文化史的意義が明らかにされた。 (5) イギリスは、インド森林法の設定によって森林を国有化し住民の森林使用権を制限したが、その「科学的営林」は森林経営の商業化とそこからの歳入増加をもたらしたものの、森林再生には失敗した過程が、検討された。
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