研究課題/領域番号 |
10120211
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研究機関 | 東京工業大学 |
研究代表者 |
奥田 雄一 東京工業大学, 大学院・理工学研究科, 教授 (50135670)
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研究分担者 |
松本 宏一 東京工業大学, 大学院・理工学研究科, 助手 (10219496)
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キーワード | 量子核形成 / トンネル効果 / 固体ヘリウム4 / 超流動ヘリウム4 / 収束超音波 / homogeneous nucleation / negative crystal / 結晶成長 |
研究概要 |
絶対零度近傍における固体4Heは、超流動4Heから圧力を24気圧かけることによって1次の相転移で生成される。極低温のために両相におけるエントロピーがともに消失しているため、この転移では潜熱を伴わない。また超流動相からの結晶成長であるため質量輸送に散逸が伴わないため、異常なほど高速で結晶が生成される。このように量子効果の強い結晶で、極低温におけるこの結晶生成に伴う核形成が量子力学的トンネル効果によってひきおこされることが期待される。本研究では収束超音波によって超流動4Heの中心で結晶を成長させ、honogeneous nucleationを試みるものである。結晶生成の様子は過加圧からの圧力減少と、光学的手法によるものである。これまでの実験結果によれば、過加圧から平衡圧に転移する確率を解析すると、やはり壁に種結晶が生成されそれがマクロなサイズの結晶に成長していることがわかった。 また、収束超音波による核生成の試みはうまくいっていない。壁の効果が強すぎて、収束超音波による核形成は成功していない。周波数、焦点のシャープさ、入射パワー等より焦点での音場振幅はおおよそ0.5〜1barになるが、約10mbarの過加圧でマクロな固体が成長してしまう。さらにCs等で容器の内壁をコーティングすることにより壁の効果を限りなく弱めることが出来るか、試みているところである。 一方、極低温の固体4Heのダイナミックな成長、融解の様子が音波の透過信号や好感度CCDビデオカメラに収められた。強力な超音波によって固体が融解することが初めて見出された。また、さらに音波の振幅を大きくすると固体中に超流動相が生成され、結晶中を浮力によって上昇していくことが発見された。上昇するためには、融解・固化が連続的におこらねばならない。さらに驚くことに、結晶中の超流体のまわりにファセットと呼ばれる結晶面が観測され、結晶面を見せながら上昇していく。結晶中をnegative crystalが移動していくという興味深い現象が見出されている。
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