両親媒性高分子電解質は、水溶液中において疎水性相互作用によるミクロ相分離によって、自己組織化し、ナノ組織体を形成する。ナノ組織体の形態、構造、および性質は疎水基会合が分子内か分子間かによって大きく異なり、それは溶媒組成、濃度、温度などの外的条件によっても影響されるが、基本的には高分子の化学構造によって決定される。 これまでわれわれは、高分子の化学構造と自己組織化との相関についての基礎的知見を集積し、両親媒性高分子電解質の自己組織化を支配する化学構造的要因として、親水性連鎖と疎水性連鎖の配列分布が重要であることを見いだしてきた。両親媒性高分子電解質のデザインにより、形態・構造・物性の制御された高分子ナノ組織体の構築を目的として本研究を開始した。本年度は蛍光ラベルとしてピレニル基やナフチル基を少量導入したアクリルアミド-2-メチルプロパンスルホン酸ナトリウムとドデシルメタクリルアミドからなる両親媒性高分子電解質を合成し、蛍光法、蛍光消光法、静的および動的光散乱法、NMR、キャピラリー電気泳動法、GPC法などのさまざまな手法を用いて、その両親媒性高分子電解質をキャラクタライズした。その結果、ドデシル基コンテントが30〜50mol%付近で高次に折り畳まれたナノ組織体(ユニマーミセル)を形成することを明らかにした。 また、ユニマーミセルへ機能を付加することを目指し、光架橋性基を導入した両親媒性高分子電解質の合成と光応答性の評価実験を開始した。
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