本年度は当初Si(114)表面における、Ge-Siの成長キネチックス研究を計画していたが、III族窒化物は半導体分野での最近の最も注目が集まっているホットな話題であること、現有装置は1台のみであるため、この窒化物研究を優先推進することとした。改良した高性能MBE-STM装置を使用してGaN成長に関して2つの研究を成功させた。即ち1つはGaAs(001)基板を使用しての立方晶薄膜成長初期段階に関する研究である。ここではLEEDから判明していた3x3構造の原子分解能のあるSTM像を最初に撮影することに成功し、その構造や界面形成機構を詳細に検討することを可能にした。表面形態観察から、GaAsの窒化過程は3x3相規則化とプラズマ発生源からのNラヂカルによる異方的なステップエッテイングとの競合下で進行することが判明した。2番目は清浄な6H-SiC(0001)表面をUHV Siビームエッティング法で得て、その上にGaNを成長させた。機械研摩による表面損傷は完全には除去できなかったが、3x3再構成構造でそのドメインサイズが約500Åのものを得ることができた。さらに良好な窒化物層及び多層窒化物膜成長のための条件を見い出した。GaN窒化物成長に関してはSTMにより2x2及び4x4のGaN(0001)相を観察することに成功した最初のグループに属する。
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