本研究では、特に人口が多く大地震が起こる可能性が高いと指摘されている東京について、地震発生後の街路閉塞状況を予測した。防災活動専門従事者の危険性判定特性の調査として、危険度評価が国や自治体の要項などにおいてどのように扱われているかを調べ、それぞれの方法を東京の対象地域に適用した。そして、適用結果を相互に比較することにより、今後の危険度評価のあり方を考える一助となることを目指した。 そのため、まず、老朽建物の割合や建築密集の度合いなどを考慮して対象地域を選定し、我々が既に開発した方法を適用し、閉塞確率を計算するとともに、その閉塞発生状況を閉塞確率図として出力した。さらに、阪神・淡路大震災以前に出された東京都の報告書と震災後に考えられた建設省のハンドブックにおける街路閉塞の取り扱われ方を調べた。そして、それぞれの方法を対象地域に当てはめることによって、その出力傾向を比較した。 その結果として、当研究室の方法を適用した場合、対象地域においては、街路閉塞によって徒歩による避難に支障を生じることはあまりなかった。また、車が通行不可能となる確率は大きくとも30%程度とそれほど高くないことがわかった。一方、街路閉塞の視点から3つの方法を比較した結果、それぞれの方法は地域間の相対比較においては同様な傾向を持つこと、また、絶対的な値としては建設省の方法は我々の方法による値より過大な値を示すことがわかった。
|