激震時における立体骨組構造物の臨界挙動特性を解明するための第1段階として、準静的載荷を受けたときの挙動特性を構面内挙動限界の観点から明らかにした。最も単純な立体骨組として、桁行方向・スパン方向それぞれ1スパンの4本柱からなる1層立体骨組モデルを対象とし、スパン方向に繰返し水平変位が作用する場合を考え、構面内挙動限界理論に基づく限界解析を実行することによって、その臨界点を理論的に予測した。ただし、ここでは、骨組を構成する一つの梁-柱に鉛直荷重が作用した場合について限界解析を行い、その解を立体骨組モデルの限界解の近似解として考えた。 限界解析の結果、梁-柱の構面内挙動限界解は3.042cm、定常状態限界解は3.054cmと求められた。 理論解析によって得られた限界解の妥当性を確認するため、剛床仮定を考慮した立体骨組モデルに対して、限界解の前後の一定変位振幅でスパン方向に繰り返し載荷を与えた。 それぞれについて弾塑性履歴挙動解析を行った結果、95%の振幅の場合は、50サイクルの繰り返し載荷を与えたが、構面外変位は微少なオーダーにとどまり、構面外変形の顕著な成長は起きていないと判断した。これに対して、105%の振幅の場合、載荷サイクル数の増大に伴って構面外変形が大きく成長を始めることが確認され、4サイクルで梁-柱は急激な劣化挙動を示し安定な釣り合い状態が存在しなくなることが確認できた。 以上の結果より、理論解析によって予測された限界解が精度よく得られていることが確かめられた。
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