3d金属として鉄、4f金属としてガドリニウムを用いたFe/Gd多層膜の界面磁気構造を共鳴X線磁気散乱法で解析した。Gd吸収端近傍のエネルギーを持つシンクロトロンX線の直線偏光をダイアモンド移相子により円偏光に変換し、光子ヘリシティを+、-に振りつつ低散乱角域をqxスキャンし、散漫散乱を測定した。和強度は純電荷散乱、差強度は電荷磁気干渉散乱に起因する。 多層膜の2次および3次ブラッグ反射のqz値でスキャンを行なったが、両者で差信号の散乱強度は和信号より|qx|の増加とともに速く減衰した。試料内に電荷界面と別個の磁気界面が存在し、後者は前者よりラフネスが小さく、滑らかであることを示す。ボルン近似のX線散漫散乱理論を定式化し、フラクタル・モデルを用いてデータを解析した結果、高さ-高さ相関関数の面内相関距離は純電荷散乱では約45nm、電荷磁気干渉散乱では約150nmであることが分かった。 測定された差信号散漫散乱プロフィルは2次ブラッグ反射近傍では正、3次ブラッグ反射近傍では負であった。これは、Gd層内部にラフな磁気界面が存在することを示す。現在その構造、とくに、Fe/Gd界面とのラフネスの相関を研究中である。
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