1.金電極表面エネルギー変化の絶対量を電極表面に照射したレーザ光の反射角変化より測定するレーザビームデフレクション法を開発した。この手法により、ヨウ化物イオンおよび臭化物イオンを含む過塩素酸塩水溶液中における金電極の電気毛管曲線の測定に成功した。 2.電気毛管曲線から、表面エネルギーが極大となる電位、すなわち表面電荷密度が零となる零電荷電位(pzc)を求めることが可能となった。金電極のpzcは、ヨウ化物イオンおよび臭化物イオンの添加により、それぞれ約0.8Vおよび0.4V卑にシフトすることがわかった 3.さらに、接触吸着したヨウ化物イオンおよび臭化物イオンの電荷移行反応、すなわち接触吸着相の構造変化が起こる電位付近で金電極の表面エネルギーは急激に減少することが明らかになった。電気毛管曲線から得られる表面エネルギー変化の電位微分はサイクリックボルタモグラムから得られる表面電荷密度とは必ずしも一致せず、両者の相違は接触吸着相の構造変化が起こる電位付近で最大となった。 4.上記結果は圧電応答法によるこれまでの結果とも良く一致した。表面エネルギー変化の電位微分と表面電荷密度の不一致から、接触吸着相の構造変化にともなう表面歪みの増加が正の符号を持つ表面電荷を誘起することが示唆された。
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