研究課題/領域番号 |
10133234
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研究機関 | 和歌山大学 |
研究代表者 |
中西 和郎 和歌山大学, システム工学部, 教授 (80110807)
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研究分担者 |
林 聡子 和歌山大学, システム工学部, 助手 (00294306)
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キーワード | 非結合相互作用 / 4c-6e / 7c-10e / セレナナントレン・臭素錯体の構造 / ハロゲン-カルコゲン結合 / 長鎖結合の安定化 / Ab initio MO計算 |
研究概要 |
カルコゲンとハロゲンによる長鎖直線状結合においては、それらの非共有電子対が関与する相互作用が重要な役割を果たすため、その長鎖直線状結合を設計・合成するためには、その相互作用の性質を詳細に検討する必要がある。この非共有電子対が関与する相互作用の典型例として、カルコゲンとハロゲンから生成する分子錯体(R_2Z---X-X(MC))におけるZ---X-X結合の安定性とその性質を詳細に検討した。例えば、セレナントレン(1)は、溶液中で臭素と反応してMCを与えることが知られているが、このMCはp-ニトロフェニルフェニルセレニドの臭素錯体(三方両錐構造:TB)よりも安定であることを証明した。この結果を出発として、R_2Z---X-X(MC)におけるZ---X-X結合は、TBにおけるX-Z-X結合と同様に3中心4電子結合(3c-4e)として記述できることを、Ab initio MO計算を用いて証明した。 この研究に基づいて、1の臭素付加体の構造を詳しく検討した。すなわち臭素を含む1のクロロホルム溶液から、1の臭素付加体を析出させたところ、析出温度が、15℃以下の場合は、三斜晶系の結晶(T)が20℃以上の場合は、単斜晶系の結晶(M)が得られた。いずれの結晶も1:Br_2=4:5の組成であった。Tの構造をX線結晶構造解析法によって検討した結果、Tは、Br-Br-Br-Br型の4c-6e結合を持つことを明らかにした。Mの構造もX線結晶構造解析法を用いて検討を行ってる。TおよびMにおける長鎖直線状結合の性質、安定性、および生成要因につて、Ab initio MO計算を用いて詳しく検討している。
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