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1998 年度 実績報告書

共有結合性及び多重結合性リン配位子を有する遷移金属錯体の合成と反応性

研究課題

研究課題/領域番号 10133237
研究機関広島大学

研究代表者

久保 和幸  広島大学, 理学部, 助手 (90263665)

キーワードメタラホスホラン / 鉄錯体 / 超原子価 / 転位反応
研究概要

リン上に置換活性なOAr基を有する鉄-ホスファイト錯体[Cp(CO)_2Fe{P(OAr)_3}]PF_6(OAr=OPh,o-OC_6H_4O/2)に対し、o-HYC_6H_4OH(Y=HN,MeN,O)および塩基を反応させることによって、メタラホスホランCp(CO)_2Fe{P(OC_6H_4Y)(OC_6H_4Z)}(1a,Y=Z=NH;1b,Y=Z=NMe;2a,Y=O,Z=NH;2b,Y=O,Z=NMe;3,Y=Z=O)を合成し、収率良く単離することに成功した。ここで得られたメタラホスホラン1b及び2bのX線結晶構造解析により、ホスホランフラグメントは遷移金属原子に対して、そのapical方向の超原子価(hypervalent)結合のo^*軌道を用いてπ-acceptorとして働くことがわかった。
錯体1b、2b、および3は、LDA続いてMeIとの反応によりホスホラン部分が鉄からCp環に転位した錯体{η^5-C_5H_4P(OC_6H_4Y)(OC_6H_4Z)}(CO)_2FeMe(4,5,6)を与えることが各種スペクトル及びX線結晶構造解析による検討から明かとなった。この反応においては、まずCp環のプロトンがLDAによって引き抜かれ、こうして生じたCp環上のカルボアニオンがリン原子を求核攻撃することによって転位反応が進行し、その中間状態としてリンが配位数をさらに拡張した6配位遷移状態を経由すると考えられる。この反応は超原子価化合物の転位反応の初めての例である。

  • 研究成果

    (2件)

すべて その他

すべて 文献書誌 (2件)

  • [文献書誌] Kazuyuki Kubo: "Novel Synthesis,X-ray Crystal Structures,and Spectroscopic Properties of Metalated Hypervalent Phosphorus Compounds,Cp (CO) LFe {P (OC_6H_4Y) (OC_6H_4Z) } (L=CO,P (OPh) _3,P (OMe) _3,PMe_3;Y,Z = NH,NMe,O)" Organometallics. 17. 3522-3531 (1998)

  • [文献書誌] Kazuyuki Kubo: "Migration Reaction of a Hypervalent Fragment:Base-Induced Migration of a Phosphorane Fragment from Iron to the Cyclopentadienyl Ring in Cp (CO)_2 Fe {P (OC_6H_4Y) (OC_6H_4Z) } (Y,Z = NMe,NH,O)" Journal of the American Chemical Society. 120. 6715-6721 (1998)

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公開日: 1999-12-13   更新日: 2016-04-21  

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