研究概要 |
ゲルモール環とテトラシランが環状に結合したスピロ型化合物を合成し、そのアニオン開環重合によりテトラフェニルゲルモールとテトラシランの交互共重合体を合成した。またその重合機構についても検討を行った。 ゲルモールとテトラシラン環状スピロ型化合物であるモノマーは、ジクロロゲルモールと金属リチウムを反応させゲルモールジアニオンを発生させた後、1,4-ジクロロオクタメチルテトラシランと反応させることにより合成した。これをモノマーとしTHF中、開始剤としてn-ブチルリチウムを用いてアニオン開環重合させることによって分子量数万のポリマーを得ることができた。またポリマーの構造は各種NMRによる解析から、ゲルモール環とテトラシランユニットが交互に規則正しく並んだ構造であった。重合反応は、アニオン重合成長末端がモノマーを位置選択的に攻撃していると考えられ、重合の開始反応についても検討した。モノマーとメチルリチウムとの反応を行ったところ、中間体としてゲルモールアニオンが生成していると考えられる反応生成物を得た。したがって重合反応は、まず開始剤がゲルモールの隣のケイ素を攻撃してゲルモールアニオンが生成し、これが生長反応における活性種となり、他のモノマーを攻撃することにより進行しているものと考えられる。これとは対照的に昨年度に報告したシロールを含むポリマーでは、開始剤がシロールのケイ素を攻撃し重合が進行することが確認されている。シロールあるいはゲルモール環を組み込んだスピロ化合物において、重合活性種が違うにも関わらず、いずれの場合も生成したポリマー構造制御されている点は非常に興味深い。
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