アセチル化メタクリロイルマルトヘプタオシドを新規合成しラジカル重合によってオリゴ糖鎖が分枝したポリマーとした。また、メタクリル酸メチルとのラジカル共重合によって種々の割合でオリゴ糖鎖を持つポリマーも合成した。これらを脱アセチル化、硫酸化して硫酸化マルトヘプタオース分枝を持つメタクリレートポリマーを合成した。抗HIV作用、抗凝血作用を調べた。硫酸化オリゴ糖鎖の割合によって生理活性が大きく異なることを見出した(表2)。すなわち、単独重合体の抗HIV作用(50%HIVの増殖を抑制する濃度)は、EC_<50>=15〜62μg/mlで中程度の活性であるのに対し、硫酸化オリゴ糖鎖の割合が減るに従い活性が上昇し、22mol%のものでは0.3μg/mlという高い値を示すことを見出した。これは、オリゴ糖鎖が密につまっているよりもある程度間隔が開いている方がgp120との相互作用が強くなり抗HIV作用も高くなったと考えられる。抗凝血作用も同じ傾向であり硫酸化オリゴ糖鎖の割合が少なくなるに従って活性は高くなった。
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