研究概要 |
昨年度に確立した方法を用いて、ニワトリ卵よりIgYを調製し、ヒドラジン分解、N-アセチル化、ビリジルアミノ化を行い、ビリジルアミノ化(PA-)糖鎖混合物を得た。これをβ-ガラクトシダーゼで加水分解し、脳特異的糖鎖(BA2)の構造に導いた。得られたBA-2-PAを常圧、室温で3時間接触還元し、上清を濃縮乾固した。残査をヒドラジンで処理(70℃,2分)し、さらにゲル濾過(1X100cm)で精製し、1-アミノ-1-デオキシ誘導体にした。BA-2の1-アミノ-1-デオキシ誘導体とフルオレセイン-イソチオシアネートを、重炭酸ソーダ水溶液中で反応させた。過剰の試薬をゲルろ過により除去し、強い蛍光性のBA-2フルオレセイン誘導体を調製した。得られたBA-2のフルオレセイン誘導体を用いて、ICRマウス(8週齢、オス)の大脳、小脳、肝臓、腎臓を9倍量の0.32Mスクロースでホモジナイズし、ホモジネートをPVDF膜にブロットして、BA-2のフルオレセイン誘導体を反応させた所、脳にのみ蛍光が観察された。次に、大脳より同様の方法でホモジネートを調製し、細胞分画を行い、同様の実験を行った所、膜画分にのみ蛍光が観察された。このことより、BA-2に結合する蛋白質が脳に特異的に存在し、それが膜画分にあることが示唆された。また比較実験として行ったハイマンノース型糖鎖のフルオレセイン誘導体はどの画分においても結合しなかった。
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