研究課題/領域番号 |
10135206
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
秋山 英文 東京大学, 物性研究所, 助教授 (40251491)
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研究分担者 |
馬場 基芳 東京大学, 物性研究所, 教務職員 (60159077)
吉田 正裕 東京大学, 物性研究所, 助手 (30292759)
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キーワード | 近接場 / 半導体ナノ構造 / リッジ型構造 / 遷移確率 / ソリッドイマージョン / 顕微鏡 |
研究概要 |
鋭く尖ったリッジ型ファセット成長ナノ構造試料に対し、まず最初に、通常の顕微分光法で遠視野光の分布を観察し、次に申請者らが開発したソリッドイマージョン(SIL)近接場蛍光顕微分光法を用いて近接場光をピックアップし観察を行った。SILはマイクロボールを半球型もしくはレンズ中心からr/nの高さで底面加工したレンズ(ワイエルストラス球型)で理想的には球面収差はない。これを通常の光学顕微鏡の対物レンズと組み合わせて発光画像計測を室温および低温で行った。 リッジ型構造のなかに作られた構造の発光強度を観測すると、平面基板上に作られた参照用量子井戸と比べて、発光強度が一桁以上大きいということが改めて確認された。電子正孔対消滅による発光過程の終状態となる電磁場のモードが、鋭く尖った誘電体のリッジ構造の周辺で局所的に変調を受け効率よい変換をなかだちしていると思われる。 さらに、詳細な情報を得るために、励起を一様励起とスポット励起の両方を試み、なおかつ温度を変えてキャリアの拡散長を意図的に変化させて測定を行った。その結果、100K以上の高温ではキャリアの熱分布が、また50K付近ではキャリアのドリフトと拡散が強く寄与するが、10K程度の低温領域ではそれらの寄与が少ないことがわかった。にもかかわらず、リッジ領域からの発光が強く現れていることは、やはり、リッジ先端から効率よく発光が起こっていることを意味している。
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