Ti-NiのB19'M(単斜晶)では結晶の対称性が低いため{11-1}、{011}第I種双晶、〈011〉第II種双晶及び(100)、(001)複合双晶が存在する.母相中に整合析出物Ti_3Ni_4が存在する場合、母相結晶粒径が数μm以下の場合、Ti_2Ni化合物中に分散した数μm以下のTiNi粒子では(001)複合双晶が支配的な内部欠陥となる.Ti-PdのBl9マルテンサイト(斜方晶)では、L.I.Sである{111}第I種双晶、それと共役な〈121〉第II種双晶に加えて{101}複合双晶が存在する.また、M相状態で時効を行うと、(001)積層欠陥が現れた. 上記の両合金で観察される第I種双晶及び複合双晶の界面は、K_1面に関して鏡映対称にある原子配列がみられ、各々の結晶学的特徴を良く表していた.しかし後者の界面は前者ほど平滑ではなかった.第II種双晶のK_1面は無理指数面であることから、低有理指数面の1edgeとstepとから構成されるというモデルとそれを支持する観察結果が報告されている.Ti-Pd合金急冷材の〈121〉第II種双晶の界面は以前報告したTi‐Niの〈011〉第II種双晶と同様であった.しかし、Ti過剰組成であるTi‐49.5at%Pd合金炉冷材及びM相時効材では、〈121〉第II種双晶の界面に部分的に階段状のコントラストが観察されたが、ほとんどの界面では数原子幅の不規則に湾曲したコントラストが見られるのみであった.これらのことから第II種双晶の界面は本質的に数原子幅の弾性的なひずみ緩和領域を伴ったものであると結論できる.
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