研究概要 |
ジルコニア-2〜4mol%イットリアの共沈粉末を種々の温度で焼成し,100-500℃の種々な環境(大気中,真空中,水中)で等温保持し,正方晶から単斜晶相への変態量をX線回折の回折ピーク強度から求めた。さらに,焼成試料を鏡面仕上げし,あらかじめ熱腐食を施した表面において変態起伏状態を原子間力顕微鏡(AFM)で調べ,以下の結果を得た。 1. 等温変態量対時間曲線は,組成に関わらず,互いによく似たサイン曲線を描くが,曲線はイットリア含有量の少ない場合,短時間へと移行した。従って,等温変態の速度はイットリア含有量の少ないほど速いこと判明した。長時間側の飽和変態量はイットリア含有量の少ないほど多くなることが分かった。さらに,変態速度は,真空,大気,水中と水蒸気量の増加と共に,速くなった。 2. 一定変態量から求めたTTT曲線はC字型を示し,そのノーズ温度は,イットリア含有量の減少と共に,短時間-高温側へと移動した。 3. 等温変態に伴う表面起伏は,正方晶相の結晶粒界から粒内へと進展し,次いで隣接粒へと伝播した。従って等温変態は粒界に核生成し,粒内へ成長することが明らかになった。変態した領域は丸い地域から成っており,その数が時効時間と共に増加した。この成長様式は,時効環境に依存しないことも判明した。
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