HOPG劈開面と各種金属酸化物種と炭素材料との界面接合の難易の目安をSEMにて観察したところ、TiO_2>MoO_x>RuO_2であり、炭素と金属酸化物の接合性の順序はMoO_x≒RuO_2>TiO_2であることがわかった。各金属酸化物超微粒子を炭素材料表面に均一分散担持させるために、担体をGCにかえて電極を作製して電気化学測定を行った。1M KOH中での定常サイクリックボルタモグラム(CV)から蓄積電荷量を評価したところ、担持量が少ない領域では、酸化ルテニウム、酸化モリブデン共に、金属1原子当たり3個以上のプロトンが吸・脱着することに相当する電荷が蓄積されることになり、理論量の1[例えば酸化ルテニウムの場合、RuO_2+H_2O+H^++e=Ru(OH)_3]より大きくなった。このことは、金属酸化物を炭素担体に超高分散担持すれば、大容量電気化学キャパシタ電極を設計することが可能があることを示している。ただし、酸化チタンの場合のように、均一分散に近い電極でもプロトン吸着量が増加しない場合もあり、担持する金属種の化学的性質に依存する。 ここで、酸化物自体の電気伝導率が高くはないにもかかわらず、炭素担体(GC)上に高分散担持されることにより電極として機能し、かつ大きな疑似二重層容量を示したMoO_x/GC電極について、その表面のXPS分析を行ったところ、高分散されると酸素の配位数がより少ないことを示唆した。 また、昨年度に引き続き、金属酸化物の層状化と眉間への炭素層の形成の実験も進行中である。
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